●コンテンツ一覧
5つのキーワードで妊娠率を高める
今回は毎日の食事にとり入れたい妊娠・出産するうえで重要な役割を果たす、栄養素や食材をビックアップします。
近年注目されている、この5つのキーワードを参考に、賢い食材選んでご紹介しましょう!
キーワード(1)腸内細菌
免疫を高める力を持つ
加齢とともに老化するのでメンテナンスが肝心!
腸内細菌がスゴイのは、栄養成分を分解するだけではなく、人間の体内ではつくることができないビタミンB群や葉酸などの栄養素を供給してくれるから。腸内細菌叢をととのえると、妊活で重要なビタミンDがふえることもわかっています。年を重ねるほど、状態が悪くなる腸内細菌叢。ととのえる手段は、食事だけなのです。善玉菌がふえるよう、主食を抜かない、発酵食品を食べる、悪い油脂を控える、などを心がけてください。
※腸内細菌叢=善玉菌、悪玉菌など、多種多様な腸内細菌の集まり。
高脂肪食に注意
脂っこい食事=高脂肪食は、腸内の“やせる善玉菌”を著しく減らすことがわかっています。糖尿病や肥満のリスクも高まることに。
発酵食品を食べましょう
腸内細菌は1日に1/3は入れかわるといわれます。乳酸菌など、体に有用な菌が豊富な発酵食品は、毎日1品は食ぺるのがおすすめ。
ごはんをちゃんと食べる
腸内細菌のエサになるのは、炭水化物(糖質と食物繊維)。過度に糖質制眼(主食抜き)のダイエットをすると、善玉菌も育ちません。
キーワード(2)ビタミンD
妊活の最重要ビタミン!
妊娠・出産に深くかかわるのに不足している女性が多い
カルシウムの吸収を助けることで知られる、ビタミンD。実は最近の研究で、卵巣機能を向上させ、体外受精の着床率・成功率を上げるなど、妊娠する力を高める重要なビタミンであることがわかっています。妊活中は、不足させないよう要注意!
ビタミンDは日光に当たると体内でつくられるのですが、紫外線対策をしている女性も多く、足りていないのが実情です。魚やきのこなどを意識してとり入れて、食事でも補いましょう。
きのこを食べる
きくらげ、干ししいたけ(天日干しのもの)に特にビタミンDが豊富。干ししいたけは、食べる前に日光に当てると成分をふやせます。
魚を食べる
ビタミンDは魚全般に豊富。特に、まいわし丸干し、たたみいわし、紅鮭、さんま、しらす干し、いくらなどに多く含まれています。
日光を浴びる
ビタミンDは紫外線に当たることで活性化するため、1日30分ほど日光を浴びると◎。
むずかしければ、サプリメントで補充しても。
味方の栄養素をふやして悪者は減らすべし
妊娠率を高めるには、「食事」がカギ。「好きなものを好きなように食べる」のは、もう卒業!「体のために何を食べるか」を考えましょう。「妊活中に最も意識したいのは、ビタミンDです。食事でふやす方法としては、魚、きのこのほか、腸内をととのえる発酵食品をとることも効果的。魚はビタミンDとDHA・EPAを両方含むので、ぜひ食べてほしいですね』と、細川モモさん。また、体にいいものを食べることに加え、妊娠を阻害する因子をどう減らすか”という点もポイント。
「高GI、高脂肪の食事では、体内の炎症レベルが上がり、妊娠力が弱まってしまいます。炭水化物に偏った食事や、揚げ物、お菓子、スナック菓子の食べすぎも要注意です」
食生活を改善して一時的に妊娠力が高まっても、続けないといい状態は保てません。ぜひ習慣化を!
キーワード(3)血糖値をコントロールする
低GI食品
高血糖は体を焦がして卵巣機能を低下させる
血糖値は、肥満や糟尿病だけでなく、排卵障害にも影響します。食後の血糖値が150㎎/dlを超えると、血液中の糖によって体内のたんぱく質が焦がされ、AGE(終末糖化産物)ができてしまいます。AGEが卵胞液にたまると、透明な卵胞液が茶褐色に変化し、卵巣機能の低下につながることがわかっています。
とはいえ、炭水化物はすぐれたエネルギー源であり、悪者ではありません。GI値(※)を把握して、賢く選びましょう。
※炭水化物の血糖値上昇指数。
主食は茶色を選ぶ
小麦や白米などの精製された炭水化物は、血糖値が急上昇しやすい高G喰品。発芽玄米や雑穀米、胚芽パンなどを選ぶのがベター。
キーワード(4)抗酸化・抗炎症食材
アンチエイジングの立て役者
体の老化=サビや炎上を防ぐのは食べ物のチカラ!
活性酸素によって体がサビてしまう「酸化」と、免疫機能が過剰に働いて炎上してしまう「炎症」。どちらも老化を促進し、妊娠の妨げになってしまいます。妊活中にば、「抗酸化食材」と「抗炎症食材」を意識してとるようにしましょう。たとえば、カラフルな野菜は、ファイトケミカルという抗酸化成分が豊富。魚のDHA・EPAや腸内細菌がつくり出す物質には、抗炎症作用があります。アンチエイジング&妊娠力UPに!
カラフルな野菜を食べる
植物の色素成分やにおい(ファイトケミカル)は、紫外線に負けないように身につけた力といわれ、強い高酸化力を秘めています。
大豆製品を食べる
大豆製品の中のイソフラボンは強い抗酸化力を持ち、女性ホルモン・エストロゲンと似た働きで若さを保つサポートをしてくれます。
キーワード(5)良質な油脂
卵子の質を改善する
油脂のチョイスで排卵障害のリスクを回避できる
油脂は、老化を加速させるものもあれば、防ぐものもあるため、選び方がたいせつ。魚のDHA・EPAや、亜麻仁油、えごま油、くるみなどに含まれるα-リノレン酸は「オメガ3脂肪酸」と呼ばれ、女性に最もとってほしい炎症を鎮める必須脂肪酸です。
一方、マーガリン、ポーションミルク、ショートニングは、悪玉コレステロールをふやすトランス型脂肪酸。とるほどに排卵障害のリスクが高まるので、できるだけ避けましょう。
オメガ3脂肪酸をとる
DHA・EPAはさば、さんま、ぶりなど青背魚や、鮭、まぐろに多いので、頻繁に登場させて!
亜麻仁油は生でサラダなどに使います。
ナッツ類を食べる
くるみやナッツ類にも、オメガ3脂肪酸が含まれます。「老化防止ビタミン」といわれるビタミンEも豊富なので、おやつやサラダに!
栄養は3食卜一タルでとることがたいせつ
妊娠率が高まる朝昼晩御飯の食べ方
「食べ物のいい・悪い」の情報がいろいろあって、混乱する!という声も多いですが、まずは、1日3食をしっかり食べることが大前提。1日トータルでの栄養のとり方をレクチャーします。
カンタンでも栄養バランスよく忙しい平日パターン
朝
パパッとチャーハン
朝は糖質+たんはく質を!ヨーグルトで腸内細菌も改善
忙しい朝にしっかり栄養をとれるのが、チャーハン。具はシーフードミックスやツナ、納豆、卵などで手軽にたんぱく質補給を!ヨーグルトを足して、腸内細菌もケア。フルーツは力リウム補給になり、むくみの予防にも。
昼
鴨南蛮そば
外食ではうとんより“そば”。油脂が少なく具が多いものか○
うどんは高GIの小麦粉が原材料。そばは低GIで、血管を丈夫にする成分・ルチンが豊富です。揚げ物は避け、たんぱく質や野菜の多いメニューにし、具から食べ始めて血糖値の急上昇を防ぎましょう。汁を残せば、減塩に。
晩
具だくさん牛丼
肉は脂肪の少ない赤身を選んで食物繊維をたっぷり補う!
丼物はごはんの量はそのままに、具を増量するのがコツ。
牛丼ならしらたき、きのこ、ごぼうなどを加えることで、脂質と糖質の吸収をゆるやかにする食物繊維が一気に増します。血中脂質を低下させる酢の物も組み合わせて。
おやつは賢くチョイス
おやつは3回の食事で足りない栄養を補うものです。ビタミン豊富なフルーツ、良質な油脂がとれるナッツ類、ヨーグルトなど乳製品、肥満予防にもなる植物性ポリフェノール(ビターチョコレートやココア)がおすすめ。
朝ごはんを食べよう!
1日3食でたんぱく質を食べないと、妊娠力と美を保つ筋肉量が減ってしまいます。また、朝食を抜くと、食後の血糖値が高まって太りやすくなるのでNG!
納豆トースト+生野莱など、簡単でよいので必ず食べて。
品数=栄養素をふやしてみよう ゆったり休日パダーン
朝
焼き魚定食
魚がメインの一汁三菜でDHA・EPAをしっかりとる!
鮭はアスタキサンチン(赤い色素)に抗酸化作用があり、DHA・EPAも豊富です。魚焼きグリルがめんどうなら、フライパン焼きが手軽!しじみで貧血を防ぐ鉄を、きのこで妊活に重要なビタミンDを補えば、バッチリ。
昼
パスタランチ
魚介のトマトパスタなら単品に必要な栄養がギュッ
パスタは、トマトソースで抗酸化力の高いリコピン、魚介で良質なたんぱく質と鉄を補える「ペスカトーレ」に。食後のドリンクは、コーヒーや紅茶のタンニンは鉄の吸収を妨げるため、ハーブテイーやほうじ茶がベター。
晩
肉じゃが定食
しらたきを入れて血糖値対策を。たんぱく質補給に卵もプラス
男性も喜ぶ肉じゃがは、糖質の多いじゃがいもを減らし、しらたきをふやすことで血糖値の急上昇を防ぎ、食べごたえを出しましょう。また、1品ではたんぱく質が足りないため、茶わん蒸しや卵焼きなど卵料理をプラスして。
みそ汁は具だくさんに
みそ汁は野菜やきのこ、海藻、大豆製品などを具にして、献立に足りない栄養を補うのにもってこい。在庫食材をどしどし活用して!具だくさんにすれば栄養価が上がり、汁を減らせるので減塩にもなります。
ごはんの栄養価を高める
米は精製するほど胚芽の栄養を失い、高Glになります。
「発芽玄米」や「雑穀米」は、白米にまぜて炊くと手軽に栄養を強化できるので使ってみて!白米に近い味わいで、栄養分の多い「金芽米」という商品もあります。
ベヒ待ち食事作りルール
妊活のためにはもちろん美と健康のためになによりたいせつなのは、栄養バランス!
以下の3つのルールをぜひ実践してくださいね。
ルール1
一汁三菜の和食をめざそう!
ごはんの「主食」、タンパク質の「主菜」、野菜・きのこ・海藻の「副菜」と「汁物」がそろう、一汁三菜の献立は、栄養素をいろいろとり入れられるのがメリット。和食は血糖値が上がりにくく、脂質が少ないので太りにくい体質に!だしのうまみを活用すれば、減塩にもできます。
だしパックはかつお、さば、いわし、あごなど魚の種類はさまざま。化学調味料や塩分を含まないものがおすすめ。
保存容器にだしパックを入れ、熱湯を注いで1~2時間おきます。だしが出たらパックをとり出し、あら熱をとって冷蔵庫へ。冷蔵で2~3日保存可。
「だしパック」なら簡単にだしをとってストックOK
ルール2
1日3食にたんぱく質を片手ひと盛りずつ
1食に1つは5大たんばく質源を食べる!
魚 肉 卵 乳製品 大豆製品
体をつくるたんぱく質は、筋肉量をキープするために不足させないように!
体内で合成できない「必須アミノ酸」を豊富に含む、魚、肉、卵、乳製品、大豆製品は、毎食に”片手ひと盛り”を目安に登場させてください。肉は脂肪の少ない部位を選ぶのがポイント。
ルール3
1食あたり、5色を意識識して使う
栄養素を1つずつ頭でカウントするよりも、食材の「色」で確認するほうが簡単!
献立に以下の7色から5色がそろえば、自然と栄養バランスがととのいます。
ただし、白い主食(白米や食パン、うどん)は血糖値を上昇させやすいので、
主食は茶色に。
レインボーカラーから5色とり入れよう
赤
トマト、にんじん、赤パプリカ、りんご、いちご、鮭、えび
黄
かぼちゃ、黄パプリカ、バナナ、レモン、グレープフルーツ、卵
緑
ブロッコリー、きゅうり、ピーマン、キャペツ、枝豆、キウイ
白
玉ねぎ、大根、かぶ、長いも、とうふ、ヨーグルト、自身魚、鶏肉
紫
なす、さつまいも、紫キャベン、ブルーベリー、巨峰、あずき
黒
こんにゃく、のり、わかめ、ひじき、黒ごま、黒豆、プルーン
茶
ごぼう、きのこ、納豆、みそ、アーモンド、玄米、豚肉、牛肉
必要な栄養素を足す!
攻めの食事作りを
日本ではBMIの低いやせ女性がふえ、同時に低出生体重児もふえていることが問題視されています。
やせたい願望が根強く、自分で思っている以上に栄養失調の女性が多いんです。カロリーや体重などの数字だけにとらわれずに、1日3食で必要な栄養素をとることが、妊娠力アップ&理想の体型になれる近道です。
たんぱく質不足は、疲労や貧血の原因になり、筋肉量も落ちます。また、極端にごはんを抜いて摂取力ロリーが少ないと、脂肪を蓄えやすい体質になり、太りやすくなるので逆効果!実際、朝食を抜く人のほうが、体脂肪率が高いです。
妊活中の食生活は、「足し算」が基本。必要な栄養素を足していく攻めの姿勢で!未来の赤ちゃんのためにも、今からがんばりましょう。