晩婚化が進むにつれて不妊症が取り上げられるとともに不育症についても浸透するようになってきました。
その違いと症状について詳しく紹介していきたいと思います。
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不妊症とは
まず、不妊症は一定期間、性生活を行っているにもかかわらず妊娠しない状態のことです。
日本では5組に1組が不妊症だといわれています。
不妊症の原因は女性だけでなく男性側にも約50%ほどあると考えられています。
不育症とは
一方で、不育症とは妊娠はするが、流産や死産を繰り返してしまう症状のことを指します。
一度の妊娠での流産の確率は10~15%ほどです。
さらに、2回連続での流産の可能性は2~5%、3回連続になると1~2%の流産をされる妊娠女性がいます。
このように繰り返し流産をされる場合には、不育症が疑われます。
不妊症と不育症の原因
不妊症の原因
不妊症が起こる原因については女性側、男性側、両方の3つの可能性があります。
女性側の原因としては
- 排卵因子
- 卵管因子
- 子宮因子
- 頸管因子
- 免疫因子
などの原因があげられます。
男性側の原因としては
- 精巣(睾丸):無精子症
- 精路閉鎖
- 性交障害
- 内分泌ホルモン異常
などの原因があります。
その原因はそれぞれですが、夫婦両方の協力があって治療にのぞむのが一番の解決方法です。
不育症の原因
不育症の原因であげられるのは、
- 染色体異常
- 子宮形態異常
- 内分泌異常
- 凝固因子異常
- 抗リン脂質抗体異常
- 拒絶免疫異常
- ストレス
などの原因があげられます。
しかし、これといった原因はなく、複合的な要因によって発生することが多くあります。
特に大きく影響する要因について詳しく紹介します。
- 染色体異常
夫婦どちらかに染色体の構造的な異常がある場合には、卵や精子ができる際に染色体の異常が起こることがあります。
そのため流産あるいは染色体異常を持つ子供が生まれて来る要因になります。
- 子宮形態異常
子宮の形の異常により、流産の可能性が高まることがわかっています。
子宮形態異常には先天的な子宮の奇形と後天的な異常の2つに大別されます。
後天的な異常の代表は、子宮粘膜下筋腫です。
特に中隔子宮と双角子宮は注意すべき不育症のリスク因子として考えられています。
- 内分泌異常
内分泌異常の要因として甲状腺異常や糖尿病が大きく関わってきます。
甲状腺機能が亢進している場合や逆に低下している場合、糖尿病の場合には流産の可能性が高くなることがわかっています。
これらの病気の場合には治療を行い、妊娠するにあたって問題ないレベルまでコントロールすることが重要となります。
- 凝固因子異常
血液中の凝固因子に異常があると、血のかたまり(血栓)がつくられやすくなります。
もし妊娠中に胎盤の中に血栓がつくられると胎児に栄養が運ばれなくなり、流産や死産をまねく可能性が高まるのです。
- 抗リン脂質抗体異常
抗リン脂質抗体は自己抗体のひとつです。
この抗体が体内にあると、先ほどの凝固因子異常と同様に血栓ができやすくなります。
そのため流産につながるようになるのです。
主な疾患として抗リン脂質抗体症候群があげられます。
不妊症と不育症の対策
不妊症と不育症ともに専門医に診てもらうのが一番の近道です。
特に不妊症は近年、広く知られるようになったおかげもあり、専門医も増えてきました。
さらに最新の治療法も研究が進められています。
一方で不育症のほうが専門医が少ないといえるでしょう。
不妊症よりも知られておらず、検査や治療も保険適用外になります。
また、不妊症と不育症を併発するがあります。
つらい不妊治療に耐えてきたのに、流産を繰り返す不育症で悩むという声は決して少なくありません。