アメリカの医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」に9月26日発表された研究論文によると妊娠13週までの妊婦さんの50~80%が吐き気や嘔吐の症状を訴えますが、その吐き気や嘔吐の症状いわゆる悪阻の症状が流産のリスクを低減させている事が分かりました。
アメリカ国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)の研究者が主導した今回の研究は、797人の女性を対象に行われ、「吐き気」や「嘔吐を伴う吐き気」が流産リスクの50~75%の低下に関連していたとされています。
調査対象の女性は全員過去に1~2回の流産を経験しており、吐き気の症状を日誌に記録し自身の妊娠は尿検査で確認しています。
吐き気と嘔吐が流産リスクの低下に関連している事は、過去の研究でも示唆されていました。
つわりの吐き気がなぜ流産のリスクを軽減させるのか、いくつか理由を考察してみました。
妊婦さんの食事量が減りそれによって胎児が食品添加物や妊婦に好ましくない食物を摂取するリスクが減少し、健全な妊娠が促される
食事の総摂取量の減少が血中のインスリン濃度(もしくは血糖値)を低下させ、他のホルモンの分泌促進を間接的に促した
(インスリン抵抗性が下がる事により、卵子の質が上がる事は実証されている)
食事の総摂取量の減少により母体の生命力に対する危機感が喚起され、胎盤の成長が促進された
いずれにしても妊娠中に太りすぎるような食生活をしていると血糖値が常時高い状態が維持され母体が「妊娠糖尿病」の危険にさらされますし、母体のみだけでなく胎児にも様々な影響が出てきます。母体では早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多症、尿路感染症が胎児には巨大児、新生児の低血糖が起きやすく子宮内で胎児が死亡する事もあります。
痩せすぎももちろん母子双方の健康に悪影響を及ぼしますので、大変月並みですが妊娠中も適切な食事量の維持や栄養バランスへの注意が必須ですね。