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不妊の原因は女性という固定概念
11/3の夜に日本テレビ系列で放送されたNNNドキュメント「私の夫は”無精子症”」が話題を呼んでいます。
放送された内容に触れながら男性不妊について考えていきたいと思います。
番組内では、男性不妊の現状と男性不妊であっても子宝に期待できることが報道されています。
まず、冒頭部分の「不妊の原因は女性が原因だと固定概念があった」という内容の男性側からの言葉が気になりました。
この考えは男尊女卑の文化の名残かもしれません。
しかし、この偏った考えは、医学の進歩とともに変わってきました。
男性の4人に一人は不妊のリスクがあることが今回の放送でも紹介されているように、不妊に悩むカップルの約50%は男性側の要因だといわれています。
男性不妊の主な原因としては
- 無精子症
- 乏精子症
- 精子無力症
- 精索静脈瘤
- 閉塞性無精子症
- 先天性精管欠損
- 膿精液症
- 無精液症
- 逆行性射精
- 勃起不全(ED)
- 膣内射精障害
などがあげられます。
男性不妊は女性にも大きな負担
当番組で紹介された方は「無精子症」でした。
無精子症は、最も重く、精液中に精子を見つけることができない症状です。
番組内では、精液中に精子が見つけることができなかったため、マイクロTESEという方法を使って精子を取り出しました。
マイクロTESEは、精巣を切り開き、精子を探し出す方法です。
手術用顕微鏡で精巣内をくまなく探索して精子を回収し、成功率は約30%といわれています。
さらに手術費用は保険適用外になるため、自費診療になります。
もし手術をして精子が見つけられなかったとしても費用は変わりません。
精子を採取した後は凍結保存をされます。
その後、女性から卵子を取り出す手術を受け、卵子に取り出された精子を顕微授精して、培養液の中で育てられた後に子宮に移植されるのです。
この説明からわかるように男性不妊は女性にも大きな負担をかけることになります。
男性不妊の原因と治療
WHO(世界保健機関)によると自然妊娠の基準は精子の数が1500万個/ml、運動率が40%以上あることが望ましいとされています。
しかし、これらの男性不妊による原因のほかに、海外の研究で40年の間に精液中の精子の数が半減したことがわかっています。
原因ははっきりとわかっていませんが、生活の変化による影響が強いと考えられています。
精巣の温度が2℃上がると精子形成は半分になります。
肥満の増加や長時間のデスクワークなどにより、精巣の温度が上がった可能性を番組では指摘しています。
さらに精子はストレスや食生活の変化などにも大きく影響されます。
それはストレスや食事による活性酸素の増加によるものです。
そのため、男性不妊の治療では「抗酸化療法」を取り入れているケースが多くあります。
抗酸化療法では漢方薬やサプリメントなどが使われます。
番組内でも「サプリメントを飲んで頑張るね」といった内容のコメントがあったように、実は不妊症治療に漢方薬やサプリメントに期待されている面が多くあります。
無精子症の8割はマイクロTESEのような高度な治療を受けたとしても子どもができません。
少しでも可能性を高めることに抗酸化療法などを取り入れていかれるといいと思います。