体内の水分を調整してむくみスッキリ
妊娠中は不安がつきものです。
普段であれば別に気にすることではないのに、精神的にも過敏になりがちでストレスがたまることも多々あります。
たとえば、「元気な赤ちゃんが生まれるだろうか?」「丈夫に育てることができるだろうか?」といった不安はだれしもがおぼえるものです。
あるいは、「赤ちゃんのためになにを食べればいいんだろう?」といった不安をかかえる妊婦さんも多いようです。
考えることの中心がお腹の中で成長する赤ちゃんになるのは当然のことですね。
でも、せっかく授かった生命です。
悩むことも妊婦であるからこその喜びだと割り切って考えることも大事かもしれません。
ところで、妊婦さんの健康状態で多い悩みに、「浮腫(ふしゅ)」があります。
浮腫とは、むくみのこと。
普段でも心身が疲れたり、ちょっと不摂生したりするとむくみは起こりやすくなります。
むくみとは、体内の水分バランスが崩れている状態のこと。
持続してむくみ症状が出ていれば病気が原因と考えられるケースもありますが、一過性のものであればほとんどが心配ないとされています。
女性は特に黄体ホルモンの影響で排卵から生理までの期間はむくみやすくなるといわれています。
この黄体ホルモンの分泌量が増えるのが、妊娠から出産までの期間です。
さらに妊娠中期から後期にかけては、体内の血液量が増えるといわれています。
そのため、妊婦さんの悩みに浮腫が多いのは、ある意味当然なのです。
そう割り切れば、多少のむくみがあってもストレスがたまらないのではないでしょうか。
妊娠後期のひどい浮腫は病気が原因で起こることも
とはいえ、妊娠中のむくみが不快症状であることにかわりはありません。
心身のストレスもたまってしまいます。
心配ないと思いつつも、不安になってしまうのもまた当然のことです。
そこでもう少し詳しく妊娠中の浮腫について調べてみました。
妊娠中のむくみは、ほとんどが「生理的浮腫」と呼ばれているそうです。
むくみの出る部位として多いのが、足やふくらはぎといった脚部です。顔や手指に浮腫が起こることもあります。
脚部にむくみが多いのは、子宮が大きくなっているため心臓から脚への血流を圧迫することが一因にあるといわれています。
妊娠中は脚部だけではなく、顔や手指にも浮腫が起こることがありますが、これは黄体ホルモンの分泌量が増えるだけではなく、水分を保持するために副腎からアルドステロンやコルチゾールなどのホルモンが分泌されるからとされています。
一般的な生理的浮腫であれば大きな問題はありませんが、注意しなければならないのは、病気が原因になっている浮腫です。
深部静脈血栓症、妊娠高血圧腎症がその代表例になります。
深部静脈血栓症とは、深部の静脈に血栓ができる病気。妊娠中は後期になると出産時の出血に備えるため、血液の凝固を助けるたんぱく質が分泌されるようになるといわれています。
そのため血栓ができやすくなるので注意が必要とされています。
妊娠高血圧腎症は、血圧と尿中のタンパクが上昇した状態になり、腎臓や肝臓、肺や脳に悪影響をおよぼしたり、胎児にも問題が生じたりするかもしれない要注意の病気です。
もともと血圧が高かったり、糖尿病を持っていたりするとリスクが高くなるといわれています。初産や多胎妊娠も高いリスクになるといわれていますので、妊娠後期に入ってひどい浮腫に悩まされるようであれば主治医に相談して早期の対策が大事になってきます。
危険な浮腫の兆候としては、片足だけのむくみであったり、赤みや痛みがあったりするのは要注意。また、顔や手指にむくみが出ても一過性であれば心配はいらないのですが、頻繁にむくみが出るようであればこの場合も注意が必要とされています。
むくみの対処法としては、寝るときに足を少し高くしたり、リンパマッサージをして体液をスムーズに流したりするなどがあります。
弾性ストッキングを履いたり、ウォーキングや軽い運動をしたりするのも効果的とされています。